心配している男性

日本では依然としてHIV感染者が増加する傾向が続いており、厚生労働省の研究班による推計によると2016年時点での国内の患者・感染者は2万8300人を超えると発表されました。現在も、毎年新たに千人以上の人が感染していることが判明しています。エイズの症状を発症してHIVに気づく人も多く、厚生労働省の研究班によると国内では約5800人が検査を受けていないと推測されています。

日本では全ての保健所で無料かつ匿名でHIVを含めて数種類の性病の検査を受けることが可能ですが、近年は検査の実施件数が減少する傾向がみられます。この理由は人々のHIVに対する関心が低くなっていることや、匿名でも対面検査が恥ずかしく感じて検査に行きたがらない人が増えていることが考えられます。病院や保健所を利用する場合は診断内容が他の人に知られる心配はありませんが、医師や看護師と対面することに強い抵抗を感じている人が多いようです。

HIVは感染してもすぐに発症する訳ではありませんが、数年~十数年もの長い潜伏期間を経た後に免疫力が低下して悪性腫瘍や肺炎などを発症します。健康な人であれば問題がないような細菌やウイルスによって起こる症状を、日和見感染症と呼びます。エイズが発症すると日和見感染症によって肺炎や悪性腫瘍などを発症し、ほとんどの人は未治療放置だと2~3年で死に至ります。1996年に複数の抗ウイルス薬を組み合わせて治療を行う多剤併用療法が開始する以前は、エイズは死の病として恐れられてきました。

現在は体内でHIVウイルスが増殖をするのを防ぐ抗ウイルス薬が開発されているので、肺炎や悪性腫瘍などの症状を発症する前の段階で治療を開始すれば発症を抑えることができます。早めに治療を開始した方が余命を長くすることができるので、治療を成功させるためには早期に発見をすることが大切です。免疫力が低下してエイズを発症した後でも治療を受けることは可能ですが、そのような場合は余命が短くなってしまう恐れがあります。

治療を成功させるためには、検査を受けてエイズの症状を発症する前にHIVの感染に気づくことが大切です。近年は保健所などで性病の検査を受ける人が減少しているため、発症後に気づいて治療を開始するケースは少なくありません。2015年の厚生労働省エイズ動向委員会によると、発症してから初めてHIVに気づいた人の割合は約30%でした。発症後に発覚する“いきなりエイズ”の割合は40歳未満では19%ですが、40代では43%で50代になると50%を越えています。保健所に行けば誰でも無料かつ匿名で検査が受けられるのですが、中高年を中心に対面検査に対する抵抗がネックになっていることが推察されます。

海外では、自分で採血をしてHIVや他の性病のチェックができる検査キッドが普及しています。検査キッドを利用すれば自宅に居ながら簡単に性病に感染しているかどうかを確認することができることから、海外では普及率が高いです。日本では検査キッドの普及率が低いのですが、国内でもネット通販サイトなどを通して簡単に購入することができます。検査キッドを利用すれば、誰かほかの人と対面をする必要がないというメリットがあります。

病院や保健所などと比べると検査キッドの精度は低いのですが、病原体に感染しているかどうかを簡単に知ることができます。検査キッドを利用すれば自宅で誰にも知られずに性病チェックができ、陽性反応が出た場合は改めて保健所や病院で精密に検査を受ける必要があります。検査キッドで出来ることは簡易的なスクリーニング検査のみですが、誰にも会わずに性病のチェックをしたい人におすすめの方法です。