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AIDS治療は保険が適応されるのか?

2020年03月25日

HIVの治療は自覚症状のない潜伏期間にスタートする必要があり、治療を開始した後は生涯にわたり毎日薬を服用し続けなければなりません。現在は適切な抗ウイルス薬を用いたAIDS治療を受け続ければ、健常者とほぼ同じ程度まで死亡率を下げることが可能です。日本の平均寿命は男女ともに80歳を超えているので、30歳で治療を開始した場合は50年間にわたり服薬と血液検査を続けなければなりません。もしも途中で治療を中断するとAIDSを発症して死亡するので、何十年間も薬を飲み続けることが求められます。治療期間が長期間に及ぶ上に治療薬の販売価格には特許料が加算されているため非常に高価なので、トータルの費用は非常に高くなってしまいます。

一般的なAIDS治療を受ける場合に必要な費用(実費)は、診察料・血液検査・薬代で毎月24万円もかかります。年間あたりでは約288万円で、10年以上にわたり治療を続けるためには3~4千万円もの費用が必要になる計算です。例えば30代で感染が発覚して40歳で治療をスタートして70歳まで治療薬を服用し続けるとすれば、トータルで1億円もの治療費が必要になります。AIDSの自覚症状を発症していない場合でも免疫力が低下して他の感染症を併発しやすくなるので、実際は更に多くの医療費がかかります。健康保険が非適応であれば、平均的な収入の人が10年間あたり3~4千万円ものAIDS治療費を負担し続けることは不可能です。

現在は感染経路に関係なくAIDS治療で健康保険が適応されるため、保険を利用すれば高額医療費の上限(一般所得者の場合は年額675,600円)までの負担で済みます。それでも10年間にわたり治療を受ける場合には678万円を負担しなければならず、30年間では2千万円を越えてしまうほどです。健康保険が適用されたとしても、自己負担分だけでマンションが購入できるぐらいの治療費が必要です。

現在はAIDS治療で健康保険が適用されるので、自己負担の金額は年間あたりの上限までです。それでも長期間にわたり治療を受け続けると負担が大きくなることから、自己負担を減らすための制度が設けられています。

血液製剤が原因で感染した薬害エイズ患者は、特定疾病療養費と先天性血液凝固因子障害等治療研究事業を活用することで治療費の自己負担をなし(0円)にすることが可能です。血液製剤以外の感染経路の場合は、自立支援医療(更生医療)や福祉医療費助成制度を活用することで毎月の自己負担なし(0円)または数百円~数千円程度にすることが可能です。これらの支援制度を活用するためには、身体障害認定の手続きをして障害者手帳を発行してもらう必要があります。

健康保険が非適応であれば、AIDS治療を受け続けるためにはトータルで数千万円~1億円もの医療費を負担しなければなりません。健康保険を活用すれば1~2千万円の自己負担になりますが、それでも高額な費用を負担することになります。このため日本国内でAIDS治療を受けている人のほとんどは、身体障害者認定を受けて自立支援医療や福祉医療費助成制度を活用しています。